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Webマーケティング入門 公開日:2022.08.18

CSポートフォリオ分析とは? 定義や目的、活用メリットやタイミングをわかりやすく解説

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CSポートフォリオ分析は、顧客満足度の調査に使用する分析手法の一つです。2次元マップを使って自社の現状を視覚的に把握できるため、マーケティング施策の検討時などに活用されています。

本記事では、CSポートフォリオ分析の定義や目的、どのようなことがわかるのかを詳しく解説します。実際にCSポートフォリオ分析を実施するときの手順や注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ポートフォリオとは?

はじめに、そもそもポートフォリオとはどのような意味なのか解説します。

ポートフォリオは、業界によって異なった意味で使われる言葉です。例えばクリエイティブ業界では「クリエイターの実績をまとめた作品集」の意味で使われていますが、金融業界では「株式や現金、不動産といった保有資産の一覧」の意味で使用されています。

その他、縦軸と横軸を設定したグラフ上にデータを分布したものを「ポートフォリオ図」と呼ぶこともあります。本記事で紹介するポートフォリオ分析は、このポートフォリオ図を用いた分析方法のことです。

ポートフォリオ分析の定義

マーケティング分野で使われるポートフォリオ分析は、顧客満足度調査などに活用される分析手法です。ポートフォリオ分析は「CSポートフォリオ」「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」「バリューポートフォリオ」の大きく3つの種類に分類されます。いずれも判断基準を縦軸と横軸にした2次元マップを描く手法で、優先すべき戦略項目の抽出が目的であることが共通点です。

これら3つの分析手法のうち、本記事ではCSポートフォリオについて詳しく解説します。

3つのポートフォリオ

ここでは、3つのポートフォリオについてそれぞれ解説します。

CSポートフォリオ

CSポートフォリオは顧客満足度を調査するために使われる手法で、CSは「Consumer Satisfaction(顧客満足度)」の頭文字をとったものです。縦軸を「満足度」、横軸を「重要度」としたグラフを用いて、項目ごとの満足度と重要度の相関性を分析します。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、頭文字をとって「PPM分析」とも呼ばれている分析手法で、アメリカのコンサルティング会社、ボストン・コンサルティング・グループが提唱しました。縦軸を「市場成長率」、横軸を「市場占有率」としたグラフを用いて、事業の将来性などを分析します。ポートフォリオ分析のベースとなる手法です。

バリューポートフォリオ

バリューポートフォリオは、事業の経営判断に使用される分析手法です。こちらもボストン・コンサルティング・グループが提唱したフレームワークです。縦軸を「企業のビジョン」、横軸を「ROI」としたグラフを用いて事業を評価します。

CSポートフォリオ分析の目的

CSポートフォリオ分析の目的は、要素ごとの満足度と重要度を明確にして、改善すべき項目の優先順位を付けることです。満足度だけなら顧客アンケート調査などでも把握できますが、それぞれの要素が全体の満足度にどの程度の影響を与えているのかまではわかりません。CSポートフォリオ分析をおこなうと、各要素の満足度と重要度の相関性がわかり、どの要素が全体の満足度に影響を与えているのか把握しやすくなります。

CSポートフォリオ分析の4象限とは?

CSポートフォリオ分析の4象限とは?

CSポートフォリオ分析では、作成した2次元マップを「象限」といわれる4つのエリアに分けます。ここでは、CSポートフォリオ分析の4象限について解説します。

第一象限エリア(重要維持項目)

2次元マップの右上のエリアを第一象限エリアといいます。重要維持項目ともいわれ、満足度と重要度の両方が高いエリアです

第二象限エリア(維持項目)

2次元マップの左上のエリアが、第二象限エリアです。維持項目ともいわれ、重要度は低いものの満足度の高いエリアです

第三象限エリア(改善項目)

第三象限エリアは2次元マップの左下のエリアで、改善項目ともいわれます。満足度も重要度も低いエリアです

第四象限エリア(重点改善項目)

第四象限エリアは2次元マップの右下のエリアで、重点改善項目ともいわれます。重要度が高いのに満足度が低いエリアです

CSポートフォリオ分析でわかること

要素を4象限マップ上に分類していくと、要素ごとに顧客満足度と重要度の高低を視覚的に把握できます

例えば第一象限エリアにある要素は満足度も重要度も高いため、自社の強みとなっている要素で引き続き満足度を維持する必要があります。一方、第四象限にある要素は重要度が高いのに満足度が低く、全体の顧客満足度を低下させる要因となっている可能性があり、優先的に改善を進めなければなりません。

このように、CSポートフォリオ分析をおこなうと、自社の商品やサービスの強みや弱み、問題点などを把握し、そのなかで維持や改善すべき要素の優先度がわかります。

CSポートフォリオ分析を活用するメリット

ここでは、CSポートフォリオ分析を活用するメリットを紹介します。

自社サービスや商品の現状を把握できる

CSポートフォリオ分析では各要素を4象限マップに分類するため、自社サービスや商品の現状を視覚的に把握できます。満足度と重要度を別々に分析するよりも、要素ごとの重要度と満足度をひと目で確認しやすいのがメリットです。

マーケティング施策立案の判断材料にできる

CSポートフォリオ分析では、4つのエリアごとに「優先的に満足度を維持すべき要素」「最優先で満足度を改善すべき要素」など優先度が把握できます。そのため、マーケティング施策を検討するうえで何を重視すべきか判断する材料になります。

改善の重要度・優先度を視覚的に判断できる

マーケティング施策の重要度や優先度を視覚的に把握できるのも、CSポートフォリオ分析のメリットです。視覚的な情報があると内容を理解しやすく、複数人でマーケティング施策を検討する際にも共通認識を持ちやすくなります。

【4STEP】ポートフォリオ分析の手順

ここでは、CSポートフォリオ分析の手順を紹介します。

STEP1:アンケートを実施する

まず、要素ごとの満足度を調査するためのアンケートを実施します。「満足している」を5点、「不満がある」を1点とするなど、数値データを得られるようなアンケート項目を設定してください。

STEP2:5段階評価で満足度・期待度を点数化する

アンケートを実施したら、その結果を点数化します。それぞれの要素ごとに集計して平均点を算出してください。この数値は、4象限マップに配置する際に利用します。

STEP3:グラフ上に平均点を配置する

要素ごとの平均点が得られたら、満足度と重要度の2軸を記したグラフを用意し、重要度と満足度に応じた位置にそれぞれの要素を配置していきます。

STEP4:改善項目および優先度を検討する

すべての要素をグラフ上に配置したら、グラフを4つのエリアに分割します。それぞれの要素がどの象限に分類されるのか確認し、改善項目や優先度を検討していきます。

CSポートフォリオ分析を活用するタイミング

ここでは、どのようなときにCSポートフォリオ分析を活用するのか解説します。

現状の顧客満足度を知りたいとき

CSポートフォリオ分析はアンケートを実施して満足度を調査するステップがあるため、自社の商品やサービスについて現状の顧客満足度を知りたいときに活用します

顧客目線で自社製品やサービスを改善したいとき

自社の商品やサービスを企業目線ではなく顧客目線で改善したいときにも、CSポートフォリオ分析を使用します。顧客アンケートで実際の顧客の意見を収集できるため、顧客目線の改善に取り組むのに役立ちます

広告施策を改善したいとき

CSポートフォリオ分析は、既存顧客への影響度が高く満足度も高い要素を把握できます。この要素は自社の強みであるため、バナーや広告文といった広告クリエイティブに積極的に取り入れたい内容です。そのため、広告施策を改善したいときにも用いられます。

CSポートフォリオ分析の注意点

最後に、CSポートフォリオ分析をおこなう際の注意点を解説します。

出せるのは概略であることを意識する

CSポートフォリオ分析で得られる結果はあくまでも概略で、現状の大まかな把握しかできません。こまかな理由や原因の追求はできないため、「この要素の満足度を向上させるとどのような結果が期待できるか」や「この要素の重要度が低い理由はなぜか」といった詳細を知りたい場合には、多変量解析の一つである重回帰分析など他の分析手法を併用しましょう。

相関関数または偏相関数が必要になる

顧客アンケートから重要度を把握するためには、相関関数または偏相関数を求める必要があります。誤った相関関係を算出しないよう、正しい算出方法を把握しておかなければなりません。

アンケート結果に偏りが出ることもある

すべてのアンケート調査に共通する注意点ですが、アンケート結果に偏りが出てしまう可能性がある点にも注意してください。年齢や性別といった回答者の属性に偏りがあると、分析結果も偏ってしまいます。アンケートの対象者や回答者の属性が偏っていないか、分析前に確認しておきましょう

CSポートフォリオ分析はマーケティング施策の優先度を決められる手法

CSポートフォリオ分析は、要素を配置したグラフを4つのエリアに分けて、満足度の維持や改善の優先度を把握するための分析手法です。満足度も重要度も高い要素は満足度の維持に力を入れ、重要度が高いのに満足度が低い要素があれば積極的に改善に取り組むなど、マーケティング施策の検討に役立ちます。

分析のために顧客アンケート調査を実施するため、顧客目線で自社の現状や課題を把握したいときなどにCSポートフォリオ分析に取り組んでみてください。実施する際は、アンケート対象者に偏りがないかや、相関関数の算出方法を事前に確認しておきましょう。

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