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Webマーケティング入門 公開日:2023.02.17

KGIとは? 設定の必要性や例、KPIやOKRとの違いを解説

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KGIとは事業全体の最終目標となる指標です。企業や事業単位で設定しなければならない重要な指標ですが、似たような用語も多いため、今一つよくわからない人もいるのではないでしょうか。

本記事はKGIとは何か、必要性、KPIやOKRとの違いなどの基礎知識をわかりやすく説明します。またKGIを設定する流れや設定のコツなど実践的な方法も解説しています。

KGIとは?

KGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)とは、事業全体の最終的な目標となる指標です。一般的には売上、利益率、成約数などがKGIとして設定されます。

KGIの特徴は定量的な数値であることです。例えば、年間売上1億円、会員数1,000名のように設定します。また、KGIは原則として必達目標です。したがってKGIは、経営理念やビジョンのように抽象的、理想的なものではなく、誰でも事業の成否を判定できる具体的な数字にします。

KGIは通常、企業で1つ設定する指標です。しかし規模が大きい場合は、事業場単位やプロジェクト単位などに分けて設定します。

KPIとの違い

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、KGIを達成するために設ける中間目標です。例えば、KGIが「年間売上1億円」なら、それを達成するために必要な商談化数や集客数などをKPIに設定します。つまり、KGIがゴールであるのに対して、KPIはゴールまでの過程に設定する中間目標です。

KGIとKPIは、以下の図のようにツリー構造の因果関係があります。つまりKPIを達成できれば、KGIの達成につながります。

ロジックツリー

上図のようにKGIを頂点として、因果関係のあるKPIを作成して整理する手法は「KPIツリー(ロジックツリー)」と呼ばれています。

OKRとの違い

OKR(Objectives and Key Results)とは直訳すると「目的と成果指標」で、会社全体の目標管理に使われる指標です。主に、IT企業やベンチャー企業などのビジネススピードが速く、チャレンジングな業務内容が多い企業で採用される傾向があります。

KGIとOKRが異なる点は2つあります。1つ目は、KGIが1つしか設定されないのに対して、OKRは会社レベル、チームレベル、個人レベルでそれぞれ設定される点です。2つ目は、KGIが必達目標を設定するのに対して、OKRはおおむね60%?70%達成できそうな、高い目標を設定する点です。
両者の使い分け方は企業によって違います。しかし一般的には、KGI(およびKPI)は経営、マーケティングの目標管理に使うのに対し、OKRは組織のパフォーマンスを高めるための目標管理に使われる傾向があります。

KGI設定の必要性

KGIは経営管理上の目標であるだけでなく、組織のパフォーマンスを高めるために必要な指標です。ここでは事業目標の明確化や従業員のモチベーションアップなど、4つの必要性を解説します。

事業目標を明確にできる

KGIは事業目標を明確にする効果があります。例えば「2030年度末までに利益額10億円を達成する」のように具体的な数値と期限を決めるため、事業の成否を客観的に判定できるようになります。

もしKGIがなければ、「売上向上」「顧客ファースト」といったように、曖昧な目標になってしまい、課題や問題を先延ばしにしてしまう余地が残ります。しかしKGIを設定すれば、達成するべき目標に向かい合わなければなりません。

従業員と目標を共有できる

KGIは企業活動がどこに向かっているか、何をゴールにするかを端的に示す指標です。したがって部署や個人が自分の役割を把握しやすくなります。特にKPIツリーで見える化して情報共有できていれば、企業一丸となってKGI達成に向けて活動しやすくなるでしょう。

また、明確な目標があれば個人のモチベーションが高まり、パフォーマンスを発揮しやすい傾向があります。

事業目標の達成度合がわかる

KGIは数値で設定するため、目標の進捗状況や達成率が管理・分析しやすくなります。例えば、英会話教室の経営で「新規会員数100人」をKGIに設定すれば、入会者数80人を獲得した時点で達成率80%とわかります。

KGIの下のKPIを確認すると、さらに詳細がわかります。例えば、申し込みフォームへの集客数やWeb広告のクリック数など、見込み客との各接点に設定したKPIをみます。これらのKPIを確認すれば定量的なデータに基づいて、「ボトルネックはどこか」「どの施策の貢献度が高いか」などを分析できるようになります。

KPIを設定できる

KGIを設定できれば、適切なKPIも決まります。KPIはKGIを成し遂げるために必要な要素のため、KGIが明確に決まれば、「そのためには何が必要なのか」と逆算的に導き出せます。

例えば英会話教室が「年間売上3,000万円」というKGIに設定したとします。この場合、売上達成を目的とした会員数を維持するための新規会員数、既存会員数、顧客の平均単価などのKPIが決まります。

KGI設定の例

KGIはKPIとセットで設定する必要があります。KPIツリーの作成手順は次のとおりです。

  1. KGIを1つ決めて数値目標と期限を設定する
  2. KGIと因果関係のあるKPIを洗い出す
  3. 上位KPIと関連する下位のKPIを洗い出す
  4. KPIを定量化する

例えば英会話教室の経営で、年間売上をKGIにしたとしましょう。Web広告による集客施策のKPIツリーの部分は以下のようになります。

KPIツリー

なお、Yahoo!広告の広告管理ツールでは、広告表示数やクリック数などを簡単に集計できます。また、どの広告経由で申し込みに至ったのか(=コンバージョン経路)も計測できます。

KGIを設定するときのポイント

KGIを設定するときのポイント画像

ここでは、KGIを設定するときのポイントと含めるべき要素について解説します。

数値化できる目標を設定する

KGIはモニタリングしやすい数値を選ぶことが重要です。例えば売上や利益率などの会計情報は、モニタリングしやすい指標です。

明確な指標をKGIにしなければ、解釈のずれが生じる恐れがあります。仮に「顧客満足度向上」などのように具体的な数値がなければ、従業員ごとに目指す水準が変わる恐れがあります。

目標達成までの期限を設定する

KGIには数値目標だけでなく期限も設定しましょう。期限がなければ、やるべきタスクや優先順位が決まりません。また、進捗状況をモニタリングしてスケジュールを調整することもできなくなってしまいます。

さらに、期限を設けたほうが従業員のモチベーションを高める効果も期待できます。例えば「店舗数を増やす」よりも「2025年に3店舗オープン」のほうがゴールのイメージがわきやすく、チームやメンバーの士気を維持しやすいでしょう。

自社分析をする

KGIを達成させるために必要な項目、要因を洗い出しておくことも重要です。例えば消費者人口、競合他社の動向、自社の資金繰りなどの状況は、時期によって変化します。そのため、KGIを設定する際には、自社を取り巻く現状を分析しておく必要があります。

分析の際にはフレームワークを活用するとよいでしょう。例えば「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つのCで環境分析する「3C分析」がよく用いられます。

SMARTの法則を活用する

KGIを設定する際は「SMARTの法則」を活用すると便利です。SMARTの法則はKGIに必要な、次の5つの要素を網羅できるフレームワークです。

要素 意味
Specific(明確性) 具体性、定量的がある
Measurable(計量性) 成果測定、モニタリングできるか
Achievable(現実性) 達成可能な目標になっている
Result-oriented or Relevant(結果指向または関連性) KGIとKPIに関連性はあるか
Time-bound(適時性) 目標達成までの期間を明確に定めているか

各要素について具体例を交えて詳しく解説します。

明確性

明確性(Specific)は、KGIを設定するうえで基本となる考え方です。
例えば「お客様の定着」などのように漠然とした内容ではなく、「リピート率〇%」のように誰にでも明確にわかる具体的な数値を決めます。

計量性

計量性(Measurable)は、成果測定やモニタリングが可能であることです。
例えば「月間売上○○円達成」というKGIは、売上帳から容易に算出できるため計量性を満たしています。

一方、例えば「売上を伸ばす」というKGIは「いつからいつまでの売上なのか」「どの期間の売上と比較するのか」などが不明のため、計量性が低い状態です。また「ブランド価値を1割向上する」というKGIも、どうやって顧客心理を計測して評価するのか明確ではない場合、計量性が低いといえます。

現実性

現実性(Achievable)は、現実的に達成可能な目標かチェックする項目です。
例えば、月平均で問い合わせが10件しかない状況で「次月は問い合わせを100件獲得する」のようなKGIを設定するのは、現実性がありません。KGIは基本的に必達目標を定めるため、理想や憶測が入り込まないように注意しましょう。

結果指向または関連性

結果指向または関連性(Result-oriented or Relevant)は最終目標(KGI)と中間目標(KPI)の関連性が高いことです。例えばKGIが「新規顧客の売上100万円アップ」なら、新規顧客の集客数をKPIにするのは関連性が高い状態です。

一方、上の例のKPIに「既存顧客のアップセル成約件数〇件」などを設定すれば、アプローチする対象が新規顧客ではないため関連性が低い状態です。

適時性

適時性(Time-bound)は、目標達成までの期間が明確かどうかをチェックする項目です。例えば「自社サービスのリピート率を60%アップする」だけでは、いつまでに目標を達成したいのかわからないため、適時性が確保できていません。

また「近い将来」「できるだけ早期に」などの書き方も適時性が低いため、「来月以降」「3年後までに」などのように時間や期間を明確に区切った目標にしましょう。

KGIとKPIのずれがないように設定する

KPIを達成し続ければKGIが達成できるように関連度を高めましょう。KGIとKPIにずれが生じていれば、KPIを達成してもKGIが達成できないケースがでてきてしまいます。

関連度を高めるには「新規会員獲得数 = 広告クリック数 × コンバージョン率」のように数式にできる要素に分解して、KGIとKPIのツリー構造を設定する方法があります。

また、先に紹介したKPIツリーで見える化する方法もずれを防ぐのに効果的です。ロジックツリーはKGIを頂点にして、ツリー状にKPIを分解していく図解モデルのため、因果関係のずれを発見しやすくなります。漏れ・抜け・ダブりもみつけやすくなるでしょう。

「SMART」なKGIを設定すれば組織のパフォーマンスを高められる

事業全体の最終目標、ゴールとなるKGIは、企業活動の目的を明確にするために設定します。具体性があるか、モニタリングできるか、達成可能な目標になっているかなどをSMARTの法則を使ってチェックしながらKGIを設定していきましょう。適切なKGIを設定すれば、組織全体のパフォーマンスが高まり、より成果を出しやすくなります。

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