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LINE公式アカウント

「アプリと同等の価値」 商品購買の起点としてLINE公式アカウントを活用するI-neの決断

株式会社I-ne

2020.09.18

株式会社I-ne ECセールス部 部長代理 稲益 仁氏

ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST」や美容家電「SALONIA」などを展開する株式会社I-ne(以下、I-ne)では、以前から購買促進チャネルの一つとしてLINE公式アカウントを活用しています。同社のECセールス部 部長代理の稲益仁氏(以下、稲益氏)に、LINE公式アカウントを軸に置いたマーケティング戦略について話を伺いました。

目的
  • 各種ECサイトへ効果的に送客して商品の売り上げにつなげたい 
  • 新規顧客の獲得からエンゲージメント強化などのCRMを同一プラットフォームで実施したい 
施策
  • LINE公式アカウントから各種ECサイトへ誘導して商品購買につなげる 
  • LINEプロモーションスタンプやLINEセールスプロモーションを活用して新規の友だちを獲得 
効果
  • LINE公式アカウントの友だち数は1,800万人を超え、各種ECサイトで商品購買を促進するための起点として機能 

LINE公式アカウントは「商品を売る」ための起点として機能

I-neの主力ブランドの一つである「BOTANIST」は、2015年の発売以来、国内外の競合ブランド参入が相次ぐ中で市場におけるポジションを確立し、女性だけでなく男性からも大きな支持を得ています。そんな同社のマーケティング戦略において、注力している分野がデジタル活用です。


「主な販売経路はオフラインが中心ですが、楽天市場やAmazonなど、デジタルでも多数のチャネルに商品を展開しています。特に楽天市場やAmazonのような規模が大きいサイトで商品が売れれば、ドラッグストアなどのリアル店舗でも同様の反響が期待できます。そのため、まずはECサイトで実績を出し、それをベースにリアル店舗に営業して販路を拡大していくのが戦略の一つです。その一環として、LINE公式アカウントから各種ECサイトへ送客し、購買を促す施策を実施してきました」

株式会社I-ne ECセールス部 部長代理 稲益 仁氏

株式会社I-ne ECセールス部 部長代理 稲益 仁氏

例えば、BOTANISTのLINE公式アカウントでは、商品購買を訴求するメッセージを配信。ユーザーが商品購入ボタンをタップするとマルチカートLPに遷移し、楽天市場やAmazonなどの中から、自分が購入したいECサイト(モール)が選べるようになっています(下図参照)。各モールが企画しているセール時期などに合わせて値引きクーポンを配信することで、さらなる購買促進にも期待できます。

売り上げが好調な商品はECサイトでもランキングなどに掲載され、ユーザーの目に触れる機会も増え、購買だけでなく商品認知の獲得にもつながります。売り上げランキングへの掲載は、店舗での売り場に例えると最も目立つ棚に平積みされている状態。I-neではこの状況を意図的に作り出すための起点として、LINE公式アカウントを活用しています。


「ECサイトでの商品売上が好調でランキングに掲載されれば、『売上1位』の実績をつくることもできます。この実績を商品にシールで貼ってドラッグストアなどのリアル店舗に営業すれば、目立つ棚に設置してくれる店舗も増えます。また、店舗では詰め替え用の商品だけにLINEポイントを付与するなどのキャンペーンを展開することもあります。つまり、ECサイトで購入してくれたお客さまを1次トライアルと位置づけ、その方たちが店舗でリピート購入しやすくなるような循環を生み出しています。そして、最初のステップであるECサイトでの購買につなげる役割として、LINE公式アカウントを活用しています」

一斉配信をストップしてクリエイティブやコピー、LPを細かく検証

そんなBOTANISTのLINE公式アカウントは2020年8月現在、友だち数1,800万人以上という規模に成長しています。2016年から2020年まで5回ほどLINEプロモーションスタンプを実施しながら、店舗や商品同梱物での告知を通じて友だちを増やしてきました。以前までは、友だちに対して一斉配信でECサイトへの誘導を行っていましたが、現在は運用方法を変えています。


「LINEはほかのデジタル広告やSNSの公式アカウントと異なり、メッセージ配信が従量課金制です。そのため、『確実に見てくれるユーザーに対し、効果的な内容を』を届けることが重要です。2020年7月からはより細かい視点でPDCAを回し、データを蓄積している最中です」


配信するメッセージに使用するクリエイティブに関しても多数のパターンを用意し、写真やテキストの違いでCTRに差が出るか、最も購入につながる組み合わせはどれかなどを細かくチェックしながら検証を行っています。


「それぞれ開封率、CTR、クリック数などを見ながら、ユーザーの年代別に遷移させるLPを出し分けたりしています。ある程度のパターンが見えてきた段階で、高い効果が維持できるようなメッセージ配信に絞っていく予定です。また、無料で投稿できるタイムラインを活用して、新製品のニュースやブランドのオウンドメディア『BOTANIST Journal』へ誘導してブランド理解を促進し、エンゲージメントを高めるようなコミュニケーションも進めています」

タイムライン投稿からオウンドメディア「BOTANIST journal」へ誘導

LINE公式アカウントをブランドアプリとして活用

現在、I-neの販売チャネルは主に、「楽天市場などのECサイト」「自社ECサイト」「ドラッグストアなどの小売店舗」「自社店舗」の4つ。今後はそれぞれのチャネルのユーザーデータを収集し、LINE公式アカウントを中心に据えて、CRM領域でも活用していく方針を構想しています。


具体的にオフライン購買の場合はユーザーのデータ化が難しいものの、LINEで応募を活用して『レシート画像をLINEで送信すると、LINEポイントをプレゼント』などのキャンペーンを展開し、普段利用している店舗などのデータを取得していく構想を描いています。


また自社店舗では紙の会員証からLINE公式アカウント上で発行可能なデジタル会員証を実装して移行を促進しながら、自社ECではID連携の促進を行いデータ取得に努めていく考えです。将来的にはLINE公式アカウントにオフライン購買・オンライン購買データを集約し、友だちの購買行動や構成比を詳細に分析していく予定だと稲益氏。

「購入チャネルへの誘導だけでなく、購入後のサンクスメッセージやコミュニケーションにもすべてLINEを活用していくつもりです。私自身、LINEをSNSと捉えてはおらず、クローズドなOne to Oneコミュニケーションを行うプッシュメディアと認識しています。販促キャンペーンに使えるサービスや機能を効果的に活用しながら、ブランドアプリでできることすべてをLINE公式アカウントで進めていくことを考えています」


(公開:2020年9月/取材・文:岩崎史絵、写真:小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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